工業地帯を行く鶴見線(4)

本線の浅野に戻って、先へ進む。
相変わらずの工場街が続くが、道も少し離れて存在していて昔ながらの雑貨店やらこの地域の勤務者を当て込んでいるであろう飲み屋やらが軒を連ねている。一帯の空気が少し気になる所だが歩いてみるのもおもしろい。
わずか500mほどで次の安善である。鶴見線は工業地帯の足という相当用途の限定される路線なので、全長も短く駅間も短い。ラッシュ時の本数は十分なのに昼間はぱったり来ないというのも頷けるもので、昼間の車内にはろくに人の姿はない。工業地のど真ん中を走る訳だし、一応周辺はありふれた住宅街にはなっているのだが、バス路線が充実しているのでわざわざ鶴見線に乗って移動する必要性も薄い。

安善では大川へ向かう支線が出ているほか、東側には貨物駅が広がっており、タンク車の長い列を見ることができる。
大川行きの支線は、1990年代中頃までは一つとなりの武蔵白石から出ていたが、現在は安善から出ている。武蔵白石で右に直角に急カーブする線路になっており、同駅のホームもそのカーブ上にあったことから建築限界上大型車が入線できず、チョコレート色の旧型国電クモハ12形が平成に入っても残って営業していた。しかしさすがに老朽化、故障時の代替部品確保などの問題もあって、後に本線と同じ103系に置き換えられることになった。103系は大型車であることから急カーブ上のホームが支障になってしまうため、同ホームは廃止して一つ手前の安善から分岐させることにしたということである。余談ながら大川と鶴見線浜川崎方面とを行き来する場合、実際には安善でないと乗り換えられないが、運賃計算上は今も武蔵白石が分岐点とされている。鶴見方面〜大川の定期券で武蔵白石で乗り降りするなどが可能である。

ここの支線は朝夕のラッシュ時しか営業せず、昼間に列車はやって来ない。大川駅付近にもバスが乗り入れているので、実のところ移動はそれでも困らないはずだ。にもかかわらず朝夕には列車が運行されるのは、やはりそれだけの需要はあるからだろう。このあたり、バスと鉄道、お互いの持つ欠点をうまく補完し合っているような気がする。バスはどこでも行けてなんぼでも増やせてと、かゆい所に手が届きそうなイメージがある。その反面、大概は目的地に着くまでにマメに停留所に止まることになり、交通渋滞にはまる恐れも持ち合わせている。それを加味してダイヤが組まれていて、そんなに混んでないのに時間がかかることもある。なので交通需要の増大するラッシュ輸送には向いていない。一方で鉄道は線路の上しか走れないしバスに比べて費用がかかり、ある程度乗ってくれないことには採算がとれないが、他の交通に左右されることはないし高速で大量輸送するには向いている。昼間はあまり乗客がおらずもったいないように見える路線でも、ラッシュには大いに力を発揮することになる。そんな所で、この地域に出入りする人の少ない昼間はバスに一任して、多くの通勤客がある朝夕のみに列車を運行するというのは一つの合理的な方法のかもしれない。ただまあ、見方を変えればそれだけのために路線と駅の維持が必要、ということでもあるのだが。

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駅舎。歴史的経緯もあってか、鶴見線の各駅はどこも駅舎を持っているが、今は鶴見以外全て無人である。

 

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柱には「早めにホームでお待ち下さい」と書かれている。この駅では駅舎からホームへ行くには下り線を踏切で渡るしかなく、列車が来る前に早めにホームに入っておく必要があるためである。ここに限らず鶴見線の駅は跨線橋や地下通路がなく、大概は踏切で駅舎と連絡している。
結構乗客はいるようで、列車が来ると人の流れが出来る。

 

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ホーム。線路上に鉄塔があることもあって鉄骨が目立ち、なんだか殺風景。

 

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駅名票。今はここから大川支線が分岐するので、それに対応した表記になっている。

 

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駅東側には貨物駅が広がる。タンク車が今日も長い列をなして止まっている。東芝の敷地におじゃまする海芝浦と並んで、鶴見線が工業地の路線であることを実感させられる光景だろう。

 

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鶴見行き205系が入ってきた。

 

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夜の安善駅。
まさか夜乗ることはないだろうと思っていたのだが、この日は所用から夜に乗ることになった。いや、別に交通機関だからこういう言い方は本来おかしいのだが。どうも鶴見線というとその性格から、本当に限定された地域、目的の路線、ある意味まるで専用線のような感覚で捉えられやすいのではないかと思う。なんだか鶴見線そのものが会社の門みたくなっている気がして、「こんな時間に何の御用で?」と言われそうである。
しかし工業地帯は夜だろうが関係なく煙もくもくしてますな〜!

 

大川駅

大川駅の写真が出てきたので追加します。車両は当時の103系。小さくてすいません!

※夜間の写真は全てPC上で色補正したものです。フラッシュ撮影は絶対に止めましょう!

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smith
学生時代に旅行好きから発展(?)して鉄道好きになり、かれこれ10年以上ヒマを見つけては主に乗り鉄を楽しんでいます。
最近は車両面などの関心も強まって少しずつ撮り鉄にもなりつつあります。興味対象についてはあまり限定せずに幅広く、程よくがモットー、のつもりでおりますが本ブログでどれくらい反映出来るか、果たしてどうでしょう?(笑)まあ基本旅中心なので主に行きたいと思う所ベースに選んでます。どうぞお楽しみに!!!
カテゴリー: JR東日本, 神奈川, 都市近郊, 関東, 鶴見線   作成者: smith パーマリンク

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学生時代に旅行好きから発展(?)して鉄道好きになり、かれこれ10年以上ヒマを見つけては主に乗り鉄を楽しんでいます。 最近は車両面などの関心も強まって少しずつ撮り鉄にもなりつつあります。興味対象についてはあまり限定せずに幅広く、程よくがモットー、のつもりでおりますが本ブログでどれくらい反映出来るか、果たしてどうでしょう?(笑)まあ基本旅中心なので主に行きたいと思う所ベースに選んでます。どうぞお楽しみに!!!

工業地帯を行く鶴見線(4)” への1件のコメント

  1. こんばんは。
    お写真、楽しませて頂きました。
    鶴見線の風景は、私にとってはどこか日常生活からかけ離れていて、距離感さえ分からなくなるような不思議な気持ちにさせてくれます。いつでも行ける、すぐ近くなのですけれども、旅している気持ちになります。
    この路線らしい風景、どの駅も捨てがたいですが、安善駅の石油輸送を行う貨車が停まっている風景もいいですね。
    短い3両編成の電車が時折やってきて、去ってしまえば途端に静かになる、毎日それを繰り返す鉄道の風景が、魅力的に映ります。
    今後とも、宜しくお願い致します。
    風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/

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