中村線に入る。相変わらず山に囲まれた地を行く。
土佐入野、乗っていた学生皆おりてしまい車内はついに数人になる。8時28分、そろそろ始業の時間だ。一気に空いた車内、見回すと天井付近の広告スペースに保育園の子たちの書いた絵が貼ってある。
浮鞭(うきぶち)。読めない。。。駅名標にスポーツ天国、とある。右手に海が近づいてきた。
面白い駅名の海の王迎(うみのおうむかえ)、ここは土佐くろしお鉄道転換後の開業。ロマンチックな、と思いきや実は尊良親王流刑の地に因んだ名前らしい。
この辺りは海沿いをいく。しかし駅出るとすぐトンネル。駅前には特に目立つものはない。
有井川を過ぎ土佐白浜へ。左の崖に取り付き、すぐ右は道路と海。トンネル多し。伊豆急に似ている。昨夜この辺りを通過していてトンネル多いと思ったら、こういうことだったのか。
佐賀公園、キャッチコピーは、くじらがみえる、だそうで。海沿いの町に入り土佐佐賀。
カツオ一本釣り日本一の町だそうで。ここでも結構おり、もう二、三人に。行き違いして発車。
ここから路線は山登りルートへ入っていく。伊与喜、荷稲(かいな)を過ぎて予土線と合流する若井へ向かう。荷稲~若井駅間は最長で9.4kmもあり、予土線合流手前はトドメのループ線となっている。といってもトンネル内でループしているので外の様子はわからないが、確かにずっと左カーブしている。外見えないのが残念だが。トンネルを出たところで予土線が右から合流、車窓右手、少し離れた所にはいままできた線路が一瞬見える。しかしトンネルくぐっていくと、登ったと思えないほどのどかな風景が広がる。
若井に停車。厳密には予土線との乗り換えはここで出来るが、時間はたっぷりあるし始発に乗りたいのでこのまま素直に窪川まで乗り通す。今回は乗り放題の四国たびきっぷで来ているので特に構わない。市街地に入り、窪川に到着。
街を歩いていたら、お遍路さんに遭遇した。ここには第37番の岩本寺がある。
ウグイスの鳴き声に安堵する。
窪川駅。土佐くろしお鉄道の起点であるとともに、香川県から四国を縦断してきたJR土讃線の終点でもある。土讃線(国鉄時代は「土讃本線」)は大方戦前に建設されているが、高知県内の延伸は戦後も続き昭和26年にここ窪川まで到達した。その意味ではここは比較的新しい駅と言える。そして線路はさらに西進して、昭和38年に中村まで旧国鉄「中村線」として開業した。事実上土讃本線の延伸のような路線で運行も一体化され岡山・高松方面から特急が盛んに乗り入れ、四国の北部から南西へと抜けるルートが完成した。一方で同じく昭和49年、宇和島方面から途中までしか出来ていなかった予土線が延伸され、若井で中村線に接続、一駅先の窪川へ乗り入れるようになった。これにより国鉄路線で高知県と愛媛県を行き来できるようになり、四国内の移動手段が広がった。
しかしその後予土線の方は第三セクターにならずにJRの路線として残されたが、中村線は国鉄の赤字83線の一つとして廃止対象になってしまい第三セクターの土佐くろしお鉄道に引き継がれることになった。結果、若井~窪川の旧中村線の一駅が土佐くろしお鉄道の管轄下に入り、JRの路線網としては途切れることになった。窪川でJR土讃線と予土線の列車を乗り換えるには、土佐くろしお鉄道の運賃が一駅分必要であり、JR全線普通列車乗り放題の青春18きっぷについてもこの区間をそのまま通ることができない(その旨、車内などで注意が促されることがある)。
窪川駅の駅舎、土佐くろしお鉄道とJRとで乗り場が違うが、駅舎まで独立している。地方だとどちらかに移管している場合が多く、珍しい。
土佐くろしお鉄道のホームからJR土讃線高知方面を見る。土佐くろしお鉄道のホームには車止めがあり終点という感じがするが、隣のJRのホームはそんな気配がなく普通の途中駅といった感じ。事実特急列車は何食わぬ顔で相互に乗り入れているわけだが…。
駅付近の様子。四万十町の代表駅であり周囲は店や家々が多い。四方を山に囲まれている。
四国八十八箇所第三十七番、岩本寺。ちなみにすぐ裏を土佐くろしお鉄道が走っている。