五日市線の旅

さて、今年のGWも後半に入った。遠征するのも悪くはないが、交通機関は毎年のように混雑である。都会の近くにだってちょっと変わった所や旅気分を味わえるような所もある。東京近郊の気になる路線をいくつか取り上げてみるとしよう。
東京のJR路線網の片隅、ほとんど西端というような感じの場所に五日市線がある。全長11.1km、全7駅の短い路線で、始発の拝島駅で青梅線・八高線と接続し、青梅線経由で中央線東京駅から電車が一部乗り入れていることもあって支線のような感じもする。
全線が東京都内に位置するが、多摩方面の市街地の西端部で、都内でも山地に入る直前に位置している。中央線との乗り入れもしていることから東京都内の通勤電車らしく車両は最新型だが、路線は全線単線、運転本数も昼間は20分間隔、車窓もローカル色漂う。終点の武蔵五日市駅は山に本格的に入る地点にあり、他の鉄道との接続はなく孤立している。東京との直通は青梅線がほぼ終日走っているのに対し、こちらは朝夕ラッシュ時間帯にわずかに運行されるのみで、ほとんどは線内のみの折り返し運転で、運行上もどちらかというと孤立している感がある。一応、東京電車特定区間に入っていて、いわゆるかつての国電、JR化後のE電と呼ばれる部類に入るのだが、その中ではローカル色強い路線と思う。終点の武蔵五日市周辺の日の出町や檜原村には鉄道が通じておらず、同駅などからアクセスのバスが走っており重要な足となっているほか、本格的に山へ入る地点ということでその辺りの観光名所も多い。日の出町にはつるつる温泉があり、武蔵五日市駅からバスで行くことが出来る。

始発の拝島駅。主に1番線から発車する。車両は中央線・青梅線でも活躍するE233系。2006年にデビューし現在のJR東日本の通勤電車では最新型であり今後も製造が続けられる。かつては青梅線共々、主要路線のお下がりが回されていたが、一気に最新式になっている。
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1番線ホームには五日市線の起点標識(0キロポスト)が設けられている。
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ドアは半自動と言われるボタン式で、ドア横に設けてあるボタンで乗客自ら開閉する。青梅線、八高線もボタン式、都内では珍しい。

拝島を出ると左カーブして青梅線と分かれ、ほどなく熊川。ホームは1面1線のみで行き違いは出来ない。乗客の数も少ない。
背のあまり高くないマンションが点在する住宅地を行き、多摩川を渡る。トラス橋になっていて立派である。同じく八高線も多摩川を渡るが、そちらはトラス橋ではない。
あきる野市に入り、東秋留。乗客が結構多い。行き違いの出来る島式ホームの駅だが、武蔵五日市寄りの上下線の間に駅舎があるという、東急などの私鉄路線にあるような構造である。JRとしては珍しい構造と思われる。元を辿れば五日市鉄道という私鉄だったというから、その時からそのようになっていたのだろうか。
上り列車を待ち合わせて発車する。住宅地を走って行くが、南側(進行方向左側)は家並みが続くのに対し、北側(右側)はやがて視界にほとんど何もなくなって遠くまで見渡せるようになる。
次は秋川、あきる野市の中心駅で立派な駅舎を持つ。1987年までは西秋留という駅名だったため、ちょっと古い地図を見るとその名前になっていることがある。ここは駅名と同じく秋川市という市であったが、今はあきる野市になった。東京サマーランドの最寄り駅でもある。
車窓にはかなり田畑が目立つようになってくる。次は武蔵引田。ここも行き違いが出来ない。周囲にはそれといったものがなくやや寂しい。一応それなりの乗客数は有り、駅も屋根付きで立派ではあるが。
次は武蔵増戸。その次はもう終点の武蔵五日市だが、上り列車を待つため長めに停車した。
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ここまではさほど大きな変化はなかったが、次の終点武蔵五日市へは結構劇的な車窓の変化である。平地に続く住宅地が終わって、一気に山が迫ってくる。登山電車とまでは行かないものの上り勾配になり、山肌に取り付いて右に左にカーブする。ちょっとした山岳路線の趣である。
しかし線路はこの先でいきなり真新しい高架橋になり、アーチ橋で都道を渡って立派な高架駅の終点武蔵五日市に到着する。高架化されたのは平成に入ってからで、交通事情でされたのかもしれないがそれにしても途中で山の風景を通ってきたのと、拝島からここに来るまでここまで造り込まれた駅をそう見ることもなかっただけに、ちょっと違和感を感じる。

 

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高架の駅ホーム。

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線路終端部。延長したそうな感じだがそれはないか。

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ホームからの眺望。

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線路上の架線にツバメ?

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駅前。高架駅とあって大きく目立つ駅舎。鉄道がここで終るということもあってか、駅自体は周辺地域や鉄道の通らない日の出町や檜原村等へのバスの拠点となっている。つるつる温泉、払沢の滝などの観光スポットもある。山に隣接する所としては道路がかなり整備されているようで、交通量は多そうだ。高架化された理由もそういう所からか。
かつては、武蔵五日市駅の手前で分岐して日の出町内に入る岩井支線があり、貨物列車の運行もあった。高架に上がる部分では同線の跡を一部利用している。

 

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アーチ状の高架橋が続く。周辺の景観への、せめてもの配慮だろうか。

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名物?アーチ橋。

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西東京バス運行のトレーラーバス『青春号』。武蔵五日市駅と日の出町にあるつるつる温泉とを結んでいる。汽車を模した一風変わったバスである。