寒川神社と相模線廃線跡

東海道線の茅ヶ崎から分岐して北上し、橋本へ向かう相模線。今は茅ヶ崎から橋本の路線のみ、旅客列車のみが運行されており国鉄からJRに受け継がれているが元々は相模鉄道の一路線で相模川の砂利を運ぶための貨物線であった。そのための路線の一つとして寒川駅から支線が分岐していた。本線同様に旅客営業も行っていたが、運行時間は限られ朝夕のみの運行、昭和59年には廃止となっている。

日帰りで湘南方面に出かけた帰り、行ったことのない寒川神社参拝と合わせて訪問してみた。

茅ヶ崎から相模線に乗り寒川へ向かう。相模線は何度か乗ったことがあるが大概は通過するだけで途中駅で降りたことはほとんどない。

寒川駅は寒川町の中心駅で、相模線の中では乗降も多い。昼間は20分間隔と首都圏では本数の少ない部類に入る相模線、ホームには結構人が待っていた。

寒川神社自体は隣の宮山駅が近いため、車内放送ではその旨しきりに案内されており、寒川駅においても最寄駅と思って降りてしまった人向けか、ホームから改札に出る階段にやはり宮山駅が最寄駅である旨しつこく書かれている。実際宮山駅からだと神社まで500mほどなので確かに近い。

しかし寒川神社の表参道自体は寒川町の中心部から出ているため、そちらも含めて全部歩きたいのであれば寒川駅で降りる必要がある。表参道は後で取り上げるが緑に囲まれていていかにも神社らしく散策にもいい。寒川駅からだと1.5kmほど歩くことにはなるが、足に自信のある方は歩いてみるのもいいだろう。筆者は廃線跡探訪も兼ねていたため、寒川駅で降りた。


寒川駅。左側の下り線の隣に寒川支線が並んでいた。

寒川駅を発車する橋本行き電車。支線が存在していた分、敷地は広々としている。

少し進むと相模線本線から分岐していく。写真の県道を渡ったところからは線路跡が遊歩道になっている。

遊歩道入口近くの大門踏切から寒川神社の表参道が始まっている。こちらは後ほど向かうことにしよう。

線路跡の遊歩道を歩いていく。よく整備されている。


途中には踏切跡だろうか、道路交差部にレールが残されており動輪が置かれていた。

少し進むと一之宮公園に入る。公園内には支線の線路がほぼそのまま残されている。

廃線から30年以上経過してはいるが、ここまで間近に線路を観察?できる場所もそんなにない。

公園が終わる箇所で線路もいきなり終わる。こんな線路が残ってるなら遊具か何かで手漕ぎのトロッコみたいなやつでもあったら面白いのにと思うが、距離にしては短すぎるし管理のことも考えたら面倒だろうか。レール幅も国鉄標準の1,067mm、鉄道にしては普通だが公園の施設にするにしては広すぎる…。

公園の先で再び線路跡を活用した遊歩道に戻り、少し歩いて道路を渡るとほどなく八角広場という広場に着く。八角形の噴水がありこの名前にっているのだろうがこの日は噴水は止まっていた。

この八角広場が、かつての寒川支線の終着駅、西寒川駅があった場所である。

広場の奥に進むと西寒川駅と隣接していた相模海軍工廠の跡を示す石碑が立てられており、例によってその付近には線路が少し残されている。



ちなみに広場の前の通りには神奈中バスの八角広場前のバス停があり、茅ヶ崎駅と寒川駅を結ぶ系統が発着する。寒川支線が廃止されてからも一応交通機関が確保されているような格好だ。しかしバスの本数は少なく昼間は40分に一本しかない上、寒川駅まで歩いてもそう遠くない距離である。

ちなみに写真奥に見えている高架橋は圏央道で、その横には相模川が南北に流れている。

八角広場から圏央道沿いの道を歩いて先の県道に戻る。この辺りは二層になっていて都市高速のような景観だ。

都会から少し離れて上空に何もなく相模川沿いとあって広々とした空間、ローカルさを残す相模線の好きなところでもあったが、圏央道の開通ですっかり景観が変わってしまった。

県道に架かる橋から相模川を望む。
寒川駅近くの踏切まで戻って寒川神社表参道に入るとしよう。

1kmほど森林に囲まれた参道が続く。車道なのでそこそこに車の往来はあるが気持ちが良い。ちなみに寒川神社は交通安祈願でもよく知られている。


本殿に入りお参りする。ちょうど海の日の連休となったが関連の祭典があるようだ。

参拝を終えて帰路へ。茅ヶ崎海岸も行ったのでちと歩き疲れた。

帰りは神社最寄りの宮山駅から帰ることにする。参道の途中にはJR宮山駅の案内がされている。

500mほど歩いて宮山駅へ。
神社の周辺には宮山駅の方向を示す案内が割とあるのだが離れてしまうと宮山駅前の信号の所までそれらしい案内がない。相模線自体は神社の脇近くを走っており踏切の音も分かるくらいなのでそんなに困ることはないのだろうが、ちょっとわかりにくい。駅は信号に隣接したコンビニの横の路地を入った所に位置する。

駅はホーム一本のみ、無人駅でなのでかなり小ぶりだ。寒川神社最寄りということで初詣客を考慮してか臨時の出入口も設けられている。

宮山駅のすぐ北側(橋本寄り)には圏央道寒川北インターチェンジがある。圏央道はこの先隣の倉見駅にかけて、相模線の線路のほぼ真上に建設されている。高速道路が出来るってことで当然ではあるものの何もなかった所に突如として建造物が覆い被さることになったわけだ…。

相模線の旅

茅ヶ崎を起点に、橋本まで33.3kmを結ぶ路線。東京都心に来ることはないが起点の茅ケ崎で東海道線、終点橋本で横浜線や京王線と接続しているとあって沿線はある程度開発され、車両も典型的な通勤電車となっている。しかし基本的には相模川沿いに神奈川県を南北に結ぶ地域路線であり、1991年に電化されるまでは気動車による運行でことに国鉄時代は赤字問題も深刻視されたほどのローカル線であった。電化されて以降、本数もかなり増えて(日中、20分に1本程度)地域の足として定着しているような感はあるが、未だに全線が単線であり、主要駅の付近を除けばのんびりとした風情もあって今もローカルムードを残している。

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横浜線、京王相模原線と接続する橋本から乗車する。1番線から3番線までが横浜線、そちらの方が本数も多く賑わっている。相模線ホームの4、5番線はその横浜線と、JRを跨ぐ京王相模原線の高架駅との間に位置する。ターミナルとあって奇麗にされてはいるが、4両編成しかないためホームはちょっと短いし、人も少なくホームも狭く少々寂しい印象。乗客多く賑わっている横浜線、京王線に挟まれて少々浮いているような感じもしなくもない。ちなみに朝夕ラッシュ時は横浜線に乗り入れて八王子へ行く列車が数本ある。しかし横浜線は8両編成に対し、相模線は4両編成と半分しかない。結構混雑するのではないだろうか。
相模線の車両は205系。80年代末期〜90年代初頭に投入されたもので横浜線と同タイプでもある。しかし相模線では単線ということで行き違い待ちがあり、長時間停車により冷暖房効率が下がることを懸念してドアを半自動とした500番台が投入された。年間を通してドアは自動では開かず、乗客がドア横のボタンを押して自ら開閉する。

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時刻になり発車、京王線の高い高架橋をくぐり、横浜線の車両基地のあたりで右カーブして同線と分かれる。最初の駅は南橋本。この辺りまでは橋本の周辺部とあって大型ショッピングセンターやマンションが立ち並ぶ。1990年に京王が乗り入れて橋本と東京都心がダイレクトで結ばれ、周辺開発が急速に進んでいる。
しかしそんな景観も束の間で橋本から離れるにつれてローカルムードも濃厚になっていく。全体的には住宅地が続くが、間もなく進行方向右手に寄り添ってくる相模川に合わせて台地から低地へと降りて行く。緑の間をカーブや下り勾配で進む。夏ということで線路沿いはことに草が生い茂っている。難読駅名の原当麻(はらたいま)を過ぎ、下溝辺りまで来ると相模川が近づき、並行して走るようになる。川沿いになる右側の車窓は視界が開けていて大山を含む丹沢山系を望むことができる。

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海老名では小田急線、相鉄線と接続するが、JRの駅は国鉄の分割民営化直前の1987年になって新しく開設されたものである。一応私鉄の海老名駅に一番近い場所には造られているもののかなり無理矢理な感じであり、乗り換えるには長い歩道橋を数分歩かないといけない。むろん昔から栄えてきた私鉄の海老名駅周辺の方が街の中心になっており、小田急は急行が停車するし、相鉄はここが終点でかなり賑わっているが、対するJRの駅周辺は今ひとつな感じ。申し訳程度に仲間に入れてもらったものの、いかんせん相手にされていないような感じがする。

左側に線路がもう一本並行して複線のように見えるが、そちらは相鉄の貨物線である。その貨物線の線路が広がって基地になっている所を過ぎると厚木。ここも小田急線と接続し、むしろこちらの方が素直に隣接していて乗り換えが楽である。相鉄は貨物線なのでここで列車に乗ることはできないが、車庫も兼ねているのか、営業用の車両が回送されて止まっていることがある。どうせなら相鉄の駅もあれば便利なのにと思うが、その貨物線は相鉄の終点である海老名を通らない(一つ隣のかしわ台から分岐している)し、単線であるので運行上手間のかかる所かもしれない。

海老名、厚木と、相模線のだいたい中間地点で賑やかな場所を過ぎ、再び単独になってちょっとローカル色に戻る。しかし十数年前乗った時と違っているのは、このあたりが圏央道のルートにもなったことで、高架橋が並行するようになり視界がやや遮られる感じになってしまったところだ。いや、そんな程度で済む話ではないか。地図を見てみれば圏央道は茅ヶ崎から相模原へと抜ける形で、相模線のルートとほぼ並行している。それぞれ流動の違いはあるだろうが、何らかの影響が出てしまうだろうか。

倉見では東海道新幹線と交差している。新幹線の駅はないのでここに設置して連絡する構想もある。新幹線では新横浜〜小田原間にあたり、この間は結構距離もあると思うので確かにもう一つくらいあっても良いかもしれない。
寒川町に入る。宮山は有名な寒川神社の最寄り駅。ホーム1面1線のみの小さな駅だが、初詣シーズンは人でごった返すのだろうか。かつて存在した西寒川からの支線跡が合流して寒川。町の中心で駅も大きく、乗客も多い。東海道線、湘南に近づき、車内は夏ともなれば海水浴客も見られる。北茅ケ崎を過ぎて右急カーブして東海道線に合流、終点茅ヶ崎に着く。私鉄の始発駅のようで大きな駅だが、ここでもドアは自動では開かない。一人目がドアを開けると一斉に乗客が降りる。橋本から約1時間、通勤路線ではあるが気軽にローカル気分に浸れる路線だ。

 

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朝夕は横浜線経由で八王子に乗り入れる相模線(長野の帰りに偶然遭遇)