神戸電鉄へ(3)

長田から再び下り列車に乗る。今度は1000系。見た目は年代物に見えるが、車内は割と状態が良いようだ。
丸山、鵯越(ひよどりごえ)と進む。鵯越といえば源義経が逆落としを行った所という説が出ている所でもある。もっとも今や当時の面影もないほど、山という山はかなり開発されてしまっているが。

IMG_6997

 

鵯越あたりで住宅地は一旦途切れ、ガチの山岳区間を走るようになる。トンネルを抜けると2005年に営業休止となった菊水山を通過する。周囲にそれといったものはなく、利用客はどれくらいいたのだろうか。普通電車でもほとんどの列車が通過、1時間に1本くらいしか止まる列車はなかったそうだ。ホームは今もそのまま残されている。

ダムの横を抜けて長いトンネルに入る。ここはダム建設に伴って付け替えられた区間らしい。トンネル内は直線になっていて、速度制限の多い神戸電鉄の中では結構スピードが出る。60km/h程で走行していた。
トンネルを抜けて再び急勾配、急カーブで山間を抜けて行く。眼前に鈴蘭台車庫が見え、神戸電鉄の車両群が休んでいる。そしてそこを抜けると、今までごく自然な山の風景だったのが打って変わって、都市になってしまう。ここから鈴蘭台の街に入り、名前の通り鈴蘭台駅に到着する。

鈴蘭台は文字通りの山上都市。ここから2駅、有馬線を進んだ所に山の街という駅があるが、本当にそのまんまといった感じだ。新開地からここまでほぼひたすら登って来たとあって、このあたりの標高は概して300m前後、東京タワーの高さ程になる。
街そのものの高さもそうだが街中の起伏も非常に激しい。見た感じ鈴蘭台駅を囲むようにすり鉢状の地形になっていて、周囲の建物や住宅は総じて高い所にある。駅周辺の道路を見るとひたすら急坂である。自転車で移動なんてものなら電動アシストがなければ息切れしそうだ。ここに居を構えたらさぞ健脚になることだろうか。まったく、こんな所によくぞ街なんか造ったものだと感心させられる。

歴史は古く、昭和初期に今の神戸電鉄がこの地に開業した際に、東の軽井沢に対するような避暑地として人気を集めたという。その後昭和30年代になって宅地開発が進んで都市化した。元々神戸市内で、兵庫区に位置していたが、人口増加で分区されて北区になり区役所が置かれている。鈴蘭台という名前は公募によるものという。余談ながら、ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんの出身地だそうで。

鈴蘭台駅は車庫が隣接するのと、粟生線が分岐するとあって構内は広めである。北区の中心とあってか乗客も多い。

IMG_3022

IMG_3020

IMG_3021

 

下りホームから見た駅周辺の様子。駅を出るとすぐ急坂だ。

IMG_3023

神戸電鉄へ(2)

というわけで神戸電鉄の旅を始めるとしよう。
ウルトラマンこと3000系の普通電車に乗車する。昭和40年代の設計ではあるが、車内は木目調で落ち着いていてキレイである。
新開地を出ると一駅だけトンネルを走行、すぐに湊川に着く。先にも書いた通りたった400m、歩いて行ける距離である。元々の神戸電鉄のターミナル駅だが、今や単なる中間駅になっておりターミナル機能は新開地に譲っている。駅自体はリニューアルされていてキレイなのだが、ここ発着の列車がないせいかホームはそんなに広くない。
神戸電鉄では現在、全列車がワンマン運転しており運転士がドアを開閉する。駅に着くと運転士は席を立ってドアを開けて、発車時刻になったら自ら確認してドアを閉めて、となかなか慌ただしい。車内放送は自動化されている。

ここ湊川までのわずかな区間が神戸市街地の中心部を走るところで、また神戸電鉄にとってもっとも低い所でもある。ここから先は山地へとひたすら登って行くことになる。
湊川を出て少し行くと地下トンネルを出るのだが、運転席の後ろで見ているともういきなり急な上り勾配が続いている。まだ次の駅にも来ていないのだが、もうさっきまでいた神戸市街地が時々眼下に見えたりする。急勾配、急カーブが続くとあってかスピードはあまり出ず、50km/hくらいがせいぜいのようだ。かなり登って一段落ついたところで最初の駅、長田に到着。しかしまるで「踊り場」とでもいう感じで平らくなってるのは駅周辺だけ。この先も駅に着いてはまた登りが続く。
そんな光景なのだが、ここは150万都市である神戸市である。駅周辺はマンションや住宅地になっているのだから驚くばかりである。東京でいえば多摩ニュータウンの標高をもっと高くしたような場所という感じである。
ちょっと駅で降りて記念に何発か撮るとしよう。

長田駅

IMG_6972

IMG_6987

中心部に接していることもあってか駅周辺は賑やかで、乗客も多いようだ。

 

IMG_6994

湊川からの急な上り勾配を登ってくる列車。

IMG_6985

丸山から山を下りてくる列車。新鋭5000系。

湊川にて

新開地から神戸電鉄に乗るのだが、ちょっとその前に一つ用事を済ませるとしよう。新開地から一つ隣の湊川へ歩いて移動。先にも書いたが距離はたったの400mだから歩いてもすぐに着いてしまう。元々湊川がターミナルだった神戸電鉄が、阪神・阪急・山陽と連絡するということで神戸高速鉄道によって延伸されたものではあるが・・・。

 

新開地駅

IMG_3005

IMG_3004

新開地駅前。大通りの交差点で車の通りが多い。東西(左右)方向を横切るのは国道28号線でその下を阪神や山陽電車が通り、写真奥に向かう通りを神戸電鉄が通る。一応は神戸都心部ということで、駅前には金融機関などが集まっているものの、三宮が中心になってきた今ではぱっと見ちょっと寂しい感じもしなくもない。一応、古くから商店街、歓楽街、娯楽施設などで盛り上がっていて、それなりの活気はあるようだが。

 

IMG_3009

湊川方面への通りを歩く。写真奥に小さく山が見えているが、今度はそちらへ向かうことになる。

 

湊川も神戸電鉄にとっては神戸都心部だし、かつてのターミナルということもあって駅はそれなりに大きい。今は神戸市営地下鉄(湊川公園駅)と連絡している。しかしここにきてなんかとっても気になるのが、交差点に接する「人工衛星饅頭」のお店。聞く所、別に形が人工衛星だからという訳ではないようで、昭和33年に人類初の人工衛星である、スプートニク1号が打ち上げられた翌年に売り出されたものだそうで、それに因んだものということらしい。今回は残念なことに、時間がちょっととれなかったもので購入は割愛してしまった。一個70円らしい。実態としては、どら焼きに似たものだとか。

IMG_3011

IMG_3013

 

さて、なんでここ湊川へ歩いてやってきたかと言えば、神戸電鉄の粟生線(あおせん)全通60周年記念入場券をゲットするためである。新開地は神戸高速鉄道なもので売っておらず、神戸電鉄でも起点の湊川始め主要駅でしか売っていないようだ。1190円。実は限定2000部なので、入手できるか行ってみないとちょっとわからなかったが、あっさり入手できてしまった。かんばしくないのだろうか?東京ならこの手のものがすぐに売れてしまうのだが。

IMG_3028

IMG_3032

 

さて、このあとはいよいよ神戸電鉄に乗ることにしよう。湊川から乗っても良かったがせっかくなので完乗するために、再び歩いて一旦新開地へ戻った。

ちょっとだけ阪神電車

神戸は三宮で、JRを一旦離れる。
三宮といえば神戸の中心市街地で、大阪梅田からやってくる阪神電車、阪急電車のターミナルで、神戸市営地下鉄なども乗り入れる。新幹線はここではなく新神戸駅となるが、そちらも地下鉄で一駅移動すれば良いだけだ。
JRでは二つ西に行くと神戸駅があり、ここが東海道本線の終点・山陽本線の起点となっているが、現在神戸止まりの列車はほぼ皆無で両線一体で運行され、単なる途中駅となっている。特急も三ノ宮(細かいことにJRは「ノ」が入る)に停車して神戸は通過するものが多いようだ。神戸市役所も三宮にある。
ちなみにJR西日本は大阪近郊路線に愛称をつけていて、東海道本線は米原〜京都間を「琵琶湖線」、京都〜大阪間を「京都線」、大阪〜姫路(神戸からの山陽本線含む)を「神戸線」と愛称を付けており、基本的にその名前で案内している。「東海道線」、「山陽線」などと正式名称で案内されることは少ない。

神戸の街は港町として古くから栄え、今は人口150万の大都市である。しかし古くからの中心部に関して言えば、六甲山と海とに挟まれたほんのわずかな所に造られたような横長の街だ。そんな所では鉄道路線網も基本的には横(東西)ラインが中心で、JR、私鉄、地下鉄が近接して並行し激しく競合している。今ではすっかり六甲山方面も市街地化、今回はこれからそちらをメインとして訪れるのだがまったくこの沿岸都市とのギャップはなんだろうか。
三宮で地下に降りて阪神電車に乗る。阪神電車はここから一つ西へいった元町が終点で、始発も大阪梅田なので30キロ程と短い。特急が10分おきくらいに来る典型的な都会電車。しかし実態としては、元町から神戸高速鉄道を経由して反対側の山陽電車と相互乗り入れしており、梅田〜姫路間を結ぶ直通特急が現在のベースである。ちょうどJRが大阪〜姫路間をやはり新快速で結んでいるのでこちらも対抗という感じだが、前にも触れた通りライバルがスピードが武器の新快速ではとても勝負にならない。直通特急は6両編成のロングシート車だが、三宮からでは座席がほとんど空席だった。

IMG_2986

阪神三宮駅。古くから存在する地下駅。バリアフリー化、防災などの観点もあって最近大幅にリニューアルされたが、ドーム型の天井など昔の面影を色濃く残している。止まっているのは、難波経由で奈良へ向かう近鉄奈良線直通(近鉄5800系)。阪神は従来の山陽に加えて、2009年から近鉄との相互乗り入れを開始している。

 

IMG_2991

阪神8000系の直通特急。これで新開地へ向かう。

三宮から神戸市街地の間はずっと地下を走っていて、阪神の終点元町を過ぎるがここもまあ普通の地下駅といった感じ。かつては本当に終点だったが、神戸高速鉄道が出来て山陽と結ばれるとただの途中駅のようになった。運行上も元町止まりの電車はほぼ皆無である。
神戸高速鉄道に入り、地下駅の西元町駅を通過して、高速神戸に停車する。阪神と同じく梅田からやってきた阪急神戸線も、三宮から先はやはり神戸高速鉄道となってここ高速神戸で合流する。2路線が合流するということで実質的なターミナルになっている。ということで阪神に乗って先の「山陽姫路行き」と合わせて頻繁に見られるのが「高速神戸行き」という電車。「高速神戸」と聞くと思わず「一体どういう駅だ?」と昔は思ったものだが、後に神戸高速鉄道なるものがあることを知って謎が解けた。JRの神戸駅にほど近く、ここで阪神と阪急が接続するということもあって、阪神電車はここで終着になる列車が多い。対する阪急はそこから一駅、足を伸ばした新開地で終着になるものが多い。

この神戸高速鉄道、神戸市内に元々別の場所に存在した4社の私鉄路線(阪急、阪神、山陽、神戸電鉄)のターミナルを結ぶのと、路面電車の代替を兼ねた第三セクターの地下鉄である(昭和43年に開業)。特筆すべきは自社の車両や乗務員を持たず、先の4私鉄の車両と乗務員がそのまま乗り入れる。なので実態としては4私鉄の電車がそっくりそのまま、地下を走るだけ。しかしそういったところで事業者が違うので運賃はきっかり、別である。会社境界になる阪神の元町や阪急の三宮を過ぎると別料金になるので、地下鉄乗り入れの切符を買うのと同じでその分運賃がはね上がる。なのでそんなところが大阪始め他方面から神戸への移動の泣き所の一つだったりする。
ちなみに多くの私鉄電車が乗り入れているため、ダイヤが分かりにくいのも欠点である。市内にはJR、地下鉄、バスなど充実しているのでそれらを利用するのも手だ。

 

IMG_2993

阪神三宮から直通特急で三個目、新開地で降りる。神戸電鉄の始発駅だ。一つ手前の高速神戸もそうだが、昭和40年代の開業とあって結構年季が入っているなという気がする。昼間は阪急電車の特急がここで折り返す。
神戸電鉄は写真左の姫路寄りホーム端の階段を上がって、コンコースに出た所で乗り換えられる。ちなみに先の高速神戸駅とは600mほどしか離れておらず、「メトロこうべ」という地下街で結ばれていて、歩いていくこともできる。

 

IMG_2998

神戸高速鉄道は私鉄同士の乗り入れで運営されているので、とにかく色んな電車が来る。これは姫路へ向かう、山陽電車3000系。一見、「どれに乗って良いのやら・・・」と思う。関東でいえば「都営浅草線」といい勝負。それにしてもこの電車、3両編成しかない。

 

IMG_3001

新開地駅の構内には「高速そば」というおそば屋さんがある!
さて、ここでそばをたのむと何秒で出てくるか?まあ、種を明かせばなんのことはないが。

 

IMG_3002

新開地駅で「高速そば」の先に広がるのが神戸電鉄乗り場である。とはいえここも「実質的」なターミナルであり、正確にはここから一つ隣の湊川までは神戸高速鉄道なので、別運賃である。それも隣の湊川までなんとたったの400mしか離れていないというから、なんとも癪な話である。新開地から神戸電鉄に乗ると、このたった400mのために神戸高速の初乗り120円が上乗せされてしまう。あとで触れることになろうが、神戸電鉄にとっても泣き所の一つと言えよう。

山間の通勤路線

IMG_0899

IMG_0898

IMG_0900
通勤電車といえども大都会ばかり走る訳ではない。というか、逆に山間ばかり走る路線がある。
港町神戸の中心部、新開地を始発駅に、市内北部や周辺都市へと路線を延ばす神戸電鉄(神鉄)。神戸は、阪急や阪神も乗り入れる、私鉄王国関西の一角である。四路線があるが、今回は私用だったので有馬・三田(さんだ)線だけ乗車。新開地から有馬口を経由して三田に至る神鉄のメインルートで(有馬温泉へは、有馬口でシャトル便に乗り換え)、神戸への通勤だけでなく新開地、三田双方から大阪にも行けるため沿線はかなり宅地化されている。ワンマン運転で自動化された放送からは、次の駅と共に直営スーパーの神鉄食彩館や沿線の施設情報などが放送されいかにも都会的な感じがする。ただ、地形は六甲山系の山そのもので、行く手はひたすら、坂!運転席の後ろから見ていると「車輪の粘着力だけで良く上り下りするなぁ」と思いたくなる長い急勾配がそこかしこに存在する。まさに関西版、箱根登山電車である。駅にしても多摩ニュータウンみたいな駅があるかと思うと、山奥の秘境駅チックな駅もあって面白い。
急勾配だらけとあってそちら向けのチューニングやブレーキ装備が必須である上、あまり速く走れない。単線区間の複線化、線路の改良等で速度向上もしてきたが、投資としては高負荷のはずでそれらは高額な運賃という不利な条件にも繋がる。さらに近年急速に道路網が整備され、速くて快適なバス路線の進出もあって危うくなってきている。特に鈴蘭台から分岐する粟生(あお)線は輸送人員がピーク時(1992年)の半分に落ち込み、近年は毎年10億円もの赤字を計上しており沿線自治体、兵庫県から支援を受けつつ再建策に乗り出しているが、都市近郊路線でそんな事態が起こっている。
ちょっとセンセーショナルになってしまったか。どうか頑張って欲しい。いつか粟生線も訪問してみたいと思う。写真は谷上駅と三田駅にて。